にほんご書店そうがく社
総合教材
中級
ISBN9784894764354

「大学生」になるための日本語1


出版社 ひつじ書房
著者 堤良一・長谷川哲子
定価 1995円(本体1900円)
体裁 26cm 190頁 CD1枚付

【解 説】
 本書のタイトル「大学生になるための日本語」には、大学で学ぶに足る日本語力を身につけるという意味と、大学受験に合格するという意味が込められています。とはいえ前者に重きがおかれて作られているようです。本書は中級レベルの教材であるにもかかわらず、読解文のすべてを、生の文章に手を加えずそのまま素材に用いています。しかも素材選びがうまく、話題が面白いことは、ほかの中級レベルの教科書にはない魅力です。くわえて記述(作文)練習の設問レベルが高いことも他書にはない特色です。書く内容を考えなければ書けない練習と、考えなくとも書ける内容を書かされる練習との違いは、本書の持つ精神を如実に表していると思います。知的活動のレベル差を感じさせる教材です。  具体的な内容ですが、今回刊行されたのは中級前期に相当する「1」で、今後中級後期にあたる「2」が刊行されることになっています。各巻とも9課構成で、各課は「読む」・「文法」・「聞く」・「話す」・「タスク」・「書く」の流れで構成されています。「読む」の前に、その課で扱われるトピックが大学で学ぶどの分野の学問領域にかかわっているかが提示され、トピック内容に関連するウォームアップが行われます。続けて読み文に含まれる重要語彙と文型の確認後に「読み」を行います。「読み」の後には、「入試問題対策」と称される実戦的な設問が用意されていますが、この設問のあとには「読み」を促進・整理するための「内容理解」の設問も登場します。続けて「文法」を取り上げ、その確認と理解の練習を行ったのちに、その文法の運用面の練習として「書く」・「話す」・「聞く」が用意されています。その後の「タスク」では、聴解練習のほか、会話練習としてロールプレイが用意されています。最後にその課の仕上げとして「書く」練習を行います。「書く」では、トピックに関する意見を書き表す論述問題となっています。 思いのほか文法表現の扱いが多いのですが、一連の流れではトピック内容重視のテキストであることがわかります。しかし、「読む」・「聞く」・「話す」・「書く」といった技能的な側面ではどのように学習者の能力を養うかの方策が具体的に示されてはおらず、指導者側の力量がトピックについての理解も含め問われそうです。